第27回脳神経科学セミナーin長野

背景と目的

・今般、令和7(2025)年4月6日(日)に、第27回脳神経科学長野セミナー(主催:運動神経科学研究会 代表:小松泰喜)をオンライン配信と対面開催のハイブリッドで開催いたしました。

https://www.motorneuroscience.jp/post-274/

第27回長野セミナーでは、これまで以上に、療法士の他、臨床医学において解決の糸口に難儀する運動障害としてパーキンソン病やパーキンソニズムにも目を向け、身体への制御や動作に対する影響や臨床的な新たな観点を省察し、基礎理学・作業療法学の先進的研究活動の推進につながる臨床思考過程を取り上げています。また、競技スポーツ・パラスポーツあるいは健康スポーツを含めたヒトの動作・制御は脳の可塑性にどのような影響があるか、その脳部位や神経原理を知り、医療技術の進歩につながる心地よいサードプレイスを提供する内容となっています。

第27回長野セミナーでは、富山県・長野県内の療法士を中心に、これまで以上に多くの研究成果と臨床効果を話題にし、内容の充実したものを計画しております。これまで同様、障害のあるアスリートの脳はその機能の再構築の過程から、ニューロリハビリテーション(以下、ニューロリハ)の手本(基本)であると位置づけ、パラリンピアンを中心に、スポーツ脳科学の解説の他、神経再生がどのように神経回路の接続を持って、そして新たな動作の習得や巧緻性の獲得ができるかについて議論を深めたいと考えています。また、運動学習や制御の概念は、スポーツ動作や楽器の演奏等新たに習得することから、生物学的な基盤とした神経可塑性に伴う、神経接続の強化や新たな神経回路の構築によると考えられています。したがって、これらを例に新たなリハビリテーション技術への開発や応用には多くの期待が込められています。

本研究会では、ニューロリハビリテーション(=神経リハビリテーション)として、概念はもとより機能回復の過程として、その手続きや意図的に強化する方法の発見、さらに神経科学を基盤としたこれまでのあゆみを振り返り、脳・脊髄機能を中心に新たな知見をセミナーごとに整理をしてきています。また、身体動作のダイナミクス(身体各部の時間的変化)など、運動学習の過程を計算論として理解することや、運動制御や学習の知識と基盤となる研究を取り上げてきました。

一方で、リハ専門職(リハ医、理学療法士、作業療法士など)に目を向けると、社会的な認知はされつつも、治療の価値やその体系の確立はいまだ十分とは言えない状況が続いています。すなわち「臨床知を感性で終わらない」、「培った治療技術をいかに科学の本質として捉えるか」という点において、今もその科学的実証や学問的背景に絶えず取り組む姿勢が問われていることは事実です。開催日時・場

プログラム   

10:00 開会の辞とイントロダクション
 「神経科学とスポーツ・リハビリテーション
  日本大学スポーツ科学部教授・運動神経科学研究会発起人・代表  小松泰喜先生

10:30 教育レクチャー
 「ニューロリハビリテーションモデルとしてのパラアスリートの脳
  東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻・教授 中澤公孝先生
   司会:小松泰喜先生

12:00 協賛企業からのご案内と休憩時間

12:50 午後の部 司会:身体教育医学研究所 研究所長 岡田 真平先生

13:00〜14:00 セミナー1
 「冗長性のある身体の制御と学習機構
  東京大学大学院教育学研究科 身体教育学講座・教授
   スポーツ先端科学連携研究機構・機構長  野崎大地先生

14:10〜15:10 セミナー2
 「神経科学から捉えるパーキンソン病のリハビリテーション
  富山大学附属病院リハビリテーション療法士長 石黒 幸治先生

15:20〜16:20 セミナー3
 「認知運動戦略を用いたパーキンソン病患者の運動指導
  信州大学医学部理学療法学専攻・教授 木村 貞治先生(長野保健医療大学)教授 野添 匡史先生

【運営主催】運動神経科学研究会
【協賛企業】タック株式会社
【協力】日本大学スポーツ科学部 
 東京大学大学院教育学研究科身体教育学コース 
 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻
 公益財団法人身体教育医学研究所